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自筆証書遺言を作成する際の注意点

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2022年10月20日

1 全文を自書すること

自筆証書遺言の場合は、基本的には、全文を自書する必要があります。

パソコン打ちしたものや、代筆してもらったものは、無効になってしまいます。

ただし、財産目録に限っては、パソコン打ちしたものや代筆してもらったものでも、一定の場合には有効と扱われます。

有効と扱われる条件は、財産目録のすべてのページに署名、押印を行うことです。

ページの裏表を利用する場合には、表面にも裏面にも署名、押印が必要です。

この場合であっても、財産目録以外の部分については、すべて自書する必要がありますので、注意が必要です。

2 加除訂正のルールに従うこと

一般に、誤記があった場合には、二重線を引いて訂正印を押して加除訂正を行うことが多いです。

しかし、自筆証書遺言の場合は、このような二重線を引いて押印するだけの加除訂正の仕方は認められません。

誤った加除訂正の仕方だと、加除訂正がないままの遺言としては有効と扱われることとなりますが、最悪の場合には、遺言自体が無効となってしまいます。

それでは、自筆証書遺言の場合は、どのように加除訂正を行えば良いのでしょうか?

①加除訂正を行う部分を指示して、加除訂正を行うことを付記し、②付記の部分に署名し、③加除訂正部分に押印する必要があります。

①は、加除修正がなされた行の横に「この行2字訂正」と記載する方法や、遺言の末尾に「3行目2字訂正」と記載する方法が考えられます。

複数箇所について加除訂正を行う場合には、それぞれの箇所について、①から③の条件を満たす必要があります。

3 日付は遺言を完成させた日付を記載すること

自筆証書遺言では、必ず日付を記載する必要があります。

日付については、●年●月●日というように、必ず特定の日を記載する必要があります。

特定の日を記載しなかった場合は、無効になってしまいます。

遺言に記載するのは、遺言を完成させた日です。

何日かかけて書いた場合は、最終的に完成させた日を記載します。

ただ、あまりに長期間をかけて遺言を作成すると、遺言の一体性が争われるおそれがあります。

基本的には、その日のうちに書いた方が良いでしょう。

4 署名は氏名を記載すること

自筆証書遺言では、必ず作成者が署名を行う必要があります。

誰が作成したかを明確にするため、「父より」「母より」といった記載はせず、必ず氏名を記載しなければなりません。

また、同姓同名の誰かが作成したものではないことを明確にするためにも、作成時の住所と氏名を並べて記載した方が良いでしょう。

5 必ず押印をすること

自筆証書遺言では、押印をする必要があります。

押印は、実印でないといけないわけではなく、認印でも有効です。

拇印も有効とされています。

もっとも、後日、遺言を本人が作成したかどうかが争われることを避けるためにも、実印を押印し、印鑑証明を添付しておくのが安全であると考えられます。

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