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遺留分と相続税についてのQ&A

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2021年7月29日

遺留分とは何ですか?

遺留分は、相続人が、相続において、最低限取得することが保障されている権利のことを言います。

このため、たとえば、遺言により、特定の相続人がすべての相続財産を取得するものとされたとしても、他の相続人は、遺留分侵害額請求を行うことにより、権利を主張することができる可能性があります。

ただし、兄弟姉妹や甥姪(代襲相続の場合)については、遺留分がありません。

遺留分は、原則として、相続分の2分の1になります。

ただし、遺留分の権利者が直系尊属のみになる場合は、遺留分は相続分の3分の1になります。

遺留分を主張している段階で、相続税を納付しなければならないのでしょうか?

遺言により、相続財産のすべてを取得した相続人に対して、遺留分を主張している場合を考えたいと思います。

結論としては、遺留分を主張しているだけの段階であり、現実に遺留分に相当する金銭の支払がなされていない段階でしたら、相続税を納付する必要はありません。

相続税を納付しなければならないのは、現実に遺留分に相当する金銭の支払がなされた後のことになります。

遺留分に相当する金銭の支払がなされたら、どのような手続が行われますか?

現実に遺留分に相当する金銭の支払がなされたら、相続税を納付する必要が生じます。

相続税の申告期限前に金銭の支払がなされた場合は、支払われた金銭を相続等により取得した財産として、相続税の申告を行う必要があります。

相続税の申告期限後に金銭の支払がなされた場合には、金銭を受け取った相続人が期限後申告を行うか、金銭を支払った相続人が4か月以内に更正の請求を行い、これを受けて、税務署長が金銭の支払を受けた相続人に更正処分を行う流れになります。

なお、この場合は、遺留分に相当する金銭の支払という事情に基づき、新たに課税がなされることとなりますので、期限後申告まで、または更正処分までの加算税、延滞税は課税されません。

他方で、相続人間で協議を行い、相続税分の金銭の精算を行うこととし、期限後申告や更正の請求を行わないこととすることもあります。

いくらの相続税を納付する必要があるのでしょうか?

遺留分に相当する金銭に課税される相続税を計算し、納付を行うこととなります。

遺留分に相当する金銭の支払がなされたことを理由として、期限後申告を行う際には、小規模宅地等の特例を用いることができます。

ただし、特例の適用対象となる土地が複数ある場合には、どの土地に特例を適用するかについて、合意を行う必要があります。

また、配偶者の税額軽減についても、利用することができると考えられています。

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