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海外にある財産を相続した場合の相続税
1 海外にある財産にも相続税が課税される
相続税は、被相続人が相続時点で有していた財産について課税されます。
相続税を計算するにあたっては、被相続人が有していた個々の財産について、評価額を算定し、すべての財産の評価額を合計することとなります。
海外にある財産についても、被相続人が所有していた財産であれば、相続税の課税対象になりますので、評価額を算定し、被相続人が有していた財産に加算する必要があることとなります。
それでは、被相続人が海外に財産を保有していた場合、どのようなことに注意すべきなのでしょうか?
ここでは、海外にある不動産を相続した場合の注意点について説明したいと思います。
2 海外にある財産をどのように評価するか
海外にある財産については、どのように評価すべきなのでしょうか?
預貯金については、残高を確認することとなりますし、有価証券については、取引価格を確認することとなります。
これらの金額については、金融機関や証券会社で証明書を取得すれば、確認することができるでしょう。
それでは、不動産の場合は、どうでしょうか?
日本国内にある不動産の場合ですと、公的に定められた路線価や倍率をベースに算定することとなっています。
これに対して、海外にある不動産については、路線価や倍率が設定されているわけではありませんので、取引価格についての情報を得て、相続税申告時の評価を行うべきこととなっています。
このため、不動産については、現地の鑑定人等に評価を依頼する必要も生じてきます。
このようにして算定された、個々の財産の評価額は、外貨での評価額になっているでしょう。
最後に、外貨での評価額を、日本円での評価額に換算する必要があります。
換算する際には、相続が発生した日の為替レートを使用します。
相続が発生した日が休日である場合には、直前の為替レートを参照します。
使用するレートは、不動産、預貯金、有価証券等の積極財産の場合はTTB(外貨を円に替えるレート、TTSより低い)になりますが、外貨建ての債務等の消極財産の場合はTTS(円を外貨に替えるレート、TTBより高い)になります。
3 外国でも相続税が課税される場合
海外にある財産について、日本国内で相続税が課税されるのと合わせて、外国でも相続税が課税される場合があります。
このような二重課税が生じてしまう場合については、日本国内の相続税を軽減し、税負担を減額調整する制度が設けられています。
これを外国税額控除と言います。
おおむねの説明を行うと、外国税額控除の額は、以下のいずれか低い金額になります。
① 外国で課税された相続税(TTSにより日本円に換算)
② 日本で課税された相続税×海外にある財産の価額/被相続人の有している財産の総額
このように、海外に財産がある場合、相続税の申告にあたり、準備すべき事項が多く、時間的余裕をもって準備を行う必要があります。