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税理士によって相続税額が違うのはどうしてですか?

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年1月12日

1 財産評価のルールが複雑多岐であるため

税理士によって相続税額が違う理由の1つ目は、財産評価のルールが複雑多岐であることにあります。

たとえば、被相続人が賃貸していた宅地については、借地権等の負担が付いた土地になりますので、宅地の評価額を減額することができます。

国税庁は、全国に存在するほとんどの土地について、借地権割合を設定しており、借地権の負担により土地の評価額を何割減額されるかについて、基準を定めています。

倍率表や路線価図を確認すると、借地権割合が30%や50%というように定められているのを調べることができます。

しかし、現実には、借地権を差し引くとの処理だけでは、賃貸していた宅地の評価額を算定できないことがあります。

まず、賃借権の種類が何であるかによって、借地権の計算方法が異なってくることがあります。

たとえば、定期借地権と呼ばれる借地権が存在します。

定期借地権は、契約期間が満了すると、更新がなされないこととなっている借地権です。

公正証書で賃貸借契約書が作成されている場合は、定期借地権である可能性があります。

定期借地権については、契約期間があと何年残っているか、相続時点の基準年利率が何であったか等を考慮して、宅地の評価額から差し引く割合を決めることとなっています。

もっとも、権利金、保証金の金額が少なく、賃料額も特段低額とは言えない場合には、契約期間があと何年残っているかを参照して、定期借地権の評価を行うことが可能である場合があります。

また、定期借地権ではない借地権についても、1年間に支払われる賃料の合計額により、借地権としては2割を引くことができるにとどまったり、宅地の評価額から調整借地権を差し引く計算を行ったりしなければならないことがあります。

このように、複雑多岐に渡る財産評価のルールを網羅的に把握している税理士は、想像以上に少ないです。

先の例でも、ルールを把握していない税理士が土地の評価を行うと、借地権の種類や賃料の額を考慮することなく、一律に倍率表や路線価図の借地権割合を差し引く処理をしてしまうことがあります。

このように、税理士が正確に財産評価のルールを把握しているかどうかによって、最終的な相続税額も異なってくることとなります。

2 財産評価のルールが複数存在するため

2つ目の理由として、財産評価のルールが複数存在することを挙げることができます。

たとえば、不整形地と呼ばれる土地があります。

不整形地とは、形状が長方形や正方形ではない土地のことを言います。

このような土地は、一般に、土地の利用価値が下がるため、整形地よりも低い価格で取引がなされる傾向があります。

このため、路線価評価の場面でも、不整形地については、減額して評価することができることとされています。

この減額評価について、多くの場合には、面積を間口距離で割り算して計算上の奥行距離を算定し、その奥行距離を有する整形地として評価を行い、最後に不整形地補正率を乗じるとの計算方法が用いられます。

しかし、実際には、不整形地については、整形地に区分して評価する方法、近似整形地を作図し、近似整形地としての評価額に不整形地補正率を乗じて評価する方法等が認められています。

そして、これらの評価方法を用いた方が、面積を間口距離で割り算して計算上の奥行距離を算定する方法よりも、土地の評価額を減額することができることがあります。

このように、複数の評価方法が認められる事例において、1つの評価方法しか知らない、1つの評価方法しか使えない人が土地の評価を行うと、他の評価もした場合と比較して、高めの評価額となり、相続税額も高額なってしまう可能性があります。

先の事例でも、面積を間口距離で割り算して計算上の奥行距離を算定する方法のみを利用し、他の評価方法を検討しない税理士は多いです。

こうした理由からも、税理士によって、評価額の計算結果が異なることとなってしまうことがあります。

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